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  2004年5月の日記

5/1
月に代わってお仕置きよっ
5/6
甲子園とタイガースと僕
5/9
出会いは突然に
5/12
付箋フェチ
5/18
雨に唄えば
5/26
セツナイキモチ

5/1 月に代わってお仕置きよっ

テレビを何気なく見ていると、「セーラームーン」なるものが放送されていました。セーラームーンというと小学校時代にアニメが放送されており、女子に絶大なる人気を誇っていたのを覚えています。思考回路はショート寸前♪というフレーズが印象的なミラクルロマンスとかいう恥ずかしい歌もなぜか耳に残っています。

アニメ放送でも小学校時代の僕にはセクシャル過ぎました。っていうか今やってんのは実写版なんですね。なんだかセーラームーンに純粋に興味がある子供より、セーラームーンのセーラー服に興味がある大人に受けそうな仕上がりになっちゃってます。

なんでもかんでも実写にすればいいってもんじゃありません。アニメでしか表現できない良さとかあると思うんですよ。実写版ドラゴンボールとかあったとしても、きっと面白くないでしょう。違う意味で面白いかも知れませんが。

なんか途中でゴキブリのお化けみたいな敵が出てきて、主人公達が変身するんですけど、これはもうただのコスプレやんと言いたい。水色のかつらを被ってる子なんて、黒髪が見えちゃってるもんな。おまけになんかミニスカートで戦うもんだから、パンツとか丸出しになってるし。これはいわゆる見せパンというものを履いているのですかね?。見せパンを履いて戦う正義のヒロインってどないやねん、露出狂としか思えません。

僕はですね、これは教育上よろしくないと思います。はっきり言ってセクシャル過ぎる。肝心の演技のほうも学芸会レベルでして、かなり微妙です。

それにしても何よりこの番組のタイトルですよ。「美少女戦士セーラームーン」ですよ。自分で美少女とか言っちゃってますからね。

もうね、僕はプンプンですよ。ご立腹です。大和なでしこたるもの奥ゆかしくあれと日本の先人達は嘆いていると思います。自分の事を美少女と言ってのけてしまうその精神がいただけない。これは資本主義による競争社会が生みおとした精神なのかもしれません。しかし僕は声を大にして言いたい。自分で自分の事を美少女なんて言ってる時点で、心の美しさを欠いています。顔は心の鏡です。

どれほどのもんか見せてみろってなもんですよ。

どれどれ(鑑賞中)

ふむふむ(じっくり鑑賞中)

セーラーマーズの子が僕好みなんて口が裂けても言えない。脅迫されても書けない。ちょっと可愛いじゃんと頬を赤らめてしまったなんて、死んでもサイトにアップできない。

どうやら僕の思考回路はショート寸前♪のようなので、今日の日記はこれで終わりにします。

月に代わってお仕置きよってセリフも違う意味に聴こえてくるもんな。


5/6 甲子園とタイガースと僕

僕のバイトデビューは数年前のゴールデンウィークでした。自分自身の力で働き、その対価として給料をいただく。大人の階段を一歩登った時でありました。そのバイトは甲子園での売り子でした。売り子とは、ビールやジュースやお弁当などをスタンドで売り歩く人の事を指します。大学生になったばかりの僕はあれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい〜♪状態でしたので、アルバイト情報誌を手に取り、早速売り子募集の案内を見つけ電話したのでした。

プルルルル ガチャ
「ハイ、もしもし」
僕「バイト情報誌を見て、働かせていただきたいと思って電話させていただいたのですが」
「あーわかったから名前言ってちょうだい。じゃー○○日の○○時に来て」

少しドスの効いたおばちゃんの声で、非常に忙しそうでした。なんやらその筋の人かと思ったわ。
それにしても、あまりにもあっさりとした対応。電話して即採用な。

当日、甲子園まで行き指定されたゲートへと向かった。
バイトの古株の子から簡単に売り子のイロハを教えてもらい、即実践。

なんていうか最初はやっぱ売れないんですよ。「ビールにおつまみ〜日本酒はいかがですか〜」って言うのがなんか照れくさいんですよ。声がうわずって一人オペラみたいになってしまったわ。

確かビール500ml缶が一杯600円でした。通常価格のおよそ2・5倍というありえないインフレ。プチぼったくりの域です。しかし、この値段でも売れるわけです。なぜなら球場内には飲食物が持ち込み禁止なんです。というのも、もし持ち込みの缶やビンなどをグラウンドに投げ込まれたら困るからなんですね。なんといってもここは甲子園球場、縦じまに狂ったジャンキーたちが何をするものかわかったもんじゃありません。

というわけで、入場前には持ち物検査を受けなければなりません。まあどこの球場でもやってると思います。球場内の販売はそこにかこつけたあくどい商売と言うしかない。

それにしてもやっぱ甲子園は良いですよ。特にナイターが最高でした。球場を包む歓声、見上げるばかりの夜空、ライトに照らされたグラウンド、そして力一杯のプレーを披露するきら星のごとき選手達。なんといっても甲子園の一体感が凄い。日本のプロ野球の醍醐味がここに詰まっているといっても過言ではないです。

メジャーリーグのような、生身の歓声だけの応援も素敵だと思います。けど日本の鳴り物が響く応援合戦もそれに負けず素敵です。甲子園がいつも満員の観客で埋まるのは、野球を楽しむ以外にもみんなで一体となって応援を楽しめるからだと思います。

っていうかさその応援団の人がこれまた怖いのな。僕はライトスタンドで仕事をしていたわけなんですけど、スタンドの最前線はいわば、応援団の本拠地になってるわけでして、とてもカタギの人には見えない、デンジャーな方たちが居座っているわけです。猛虎とか豪快なフォントでハッピに描かれています。

それにしても阪神を応援してる方々というのは、正直怖い。ライトの守備位置についた相手チームの選手にめちゃくちゃ野次を飛ばしてますからね。「ボケぇー」「アホー」「ヘタクソ」とダミ声があちこちから聴こえてきます。混沌とした無秩序の世界。大人も子供も女性も関係ないんだ。世代も性別も職業もそこには関係ない。ただひとつ共通しているのは、みんな心からタイガースを愛しているんだ。

プロ野球選手ってのは大変だなと思いましたよ。僕が間近で見ることができた選手の中に現ヤンキースの松井秀樹がいました。松井はなんかね、すごいプリンプリンしてた。お尻がすごいプリンプリンしてプッチンプリンをはるかに凌駕していたね。そりゃね、あれだけお尻がプリプリしてたらホームラン打つっちゅーねん。

売り子なんだけど、どうやら阪神の攻撃中にはあんまり売り歩かずにじっとしておいた方が良いみたいです。「兄ちゃん見えんからどいて」「邪魔や」とか阪神の応援に夢中であんまりビール買ってくれないんですよ。
っていうか怒られるし、下手したらブスっと刺されかねません。

なので、阪神の攻撃の最中にはおとなしく歓戦。点が入った時、阪神の調子が良い時に一気に攻勢に出ると、これが売れる、売れる。「兄ちゃんビールくれや、ガハハ」と阪神の好調に気を良くしたおじさんがプチぼったくりビールをじゃんじゃん買ってくれるんですよ。

バイトは七回裏までが仕事でそのあとは自由に上がって良いシステムになっていました。僕は早速人生初の給料を貰ったあと、適当に空いている席に座り野球を観戦することにしました。確かその日はめちゃくちゃ阪神が調子よくて巨人に対して十点以上リードしていたと思います。カキーンと渇いた音をさせて甲子園の夜空に伸びていくホームラン。バイトを終えたあとの心地よい疲労感と甲子園の鳴り止まない歓声。それは何とも言えない、最高の一時でした。

甲子園からの帰り道、コンビニに寄って初めての給料で買った一本のジュース。「お疲れさま」とその祝杯のジュースを一気に飲み干した。

こうして僕は、人生初のバイトを経験し、それと同時に甲子園の素晴らしさを実感したのでした。けどさ実は僕、広島とダイエーのファンなのな。阪神とかビタイチ応援しておりません。コンビニのバイト中でもたまに阪神の事をいきなり話してくるオジサンとかがいるんだけど、「阪神勝って良かったですね」と心にもない事をとびきりのスマイルで言ってるもんな。広島とダイエーのファンであることがばれたら殺されかねない。甲子園のお膝元に住んでいながら、他チームのファンであるという、そうそれはまさに隠れキリシタンの憂鬱。


5/9 出会いは突然に

出会いが突然であればあるほど、それが思いがけないものであればあるほど素敵だ。

初恋の人に街中で数年ぶりに偶然出会う、少し垢抜けた彼女は髪も長くなって綺麗な大人の女性になっていた。
旧友が突然訪ねて来る。一緒に過ごしたあの頃が懐かしい。楽しい事も辛い事も共有した仲間と昔話に花が咲く。

突然の出会いってのは何も人だけではない。

部屋の片付けをしていると、突然出くわす昔の思い出の品々。修学旅行で好きな子と一緒に撮った写真、拙い文字で書かれた小学生の頃の素直な作文。ラジオでいつか聞いた曲名も知らないけど大好きな曲、偶然聞いていたラジオからその曲が流れてくる。こういう突然の出会いってものは、自分の予期できないもので思わぬ喜びを与えてくれる。

突然の出会いってのは、変わりばえのない日常に刺激を与えてくれるちょっとしたスパイスなのだ。

アンニュイな雨降りの午前の事でした。窓から見える雨の街を見ながら今後の日本経済の打開策を練ったり、人生とは何か?と哲学的な思想にふけっておりました。なんてことはなく、笑っていいとも増刊号をボーッと見ているだけでした。気分転換に苦味ばしった大人のコーヒーを飲むことにしました。お湯を沸かしたやかんを手に取り、カップの中のコーヒーの粉末にお湯を注ごうとしていたところでした。

カサカサッと謎の物体が。

(回想シーン)あの日、僕は夜空に不規則な動きをする謎の光を発見したんだ。「ヘイ!ジョディ、怪しい光があの山の方に降りていったんだ」「ジョン、それは本当なの?」「ジョディ、僕が嘘をついたことがあるかい?」「あなたはいつも嘘ばっかりじゃない」「そりゃないぜ、ジョディ」「嘘、冗談よ。早速行って確かめましょうよ」「へへ、そうこなくっちゃなジョディ、本当に君は好奇心旺盛だな」僕とジョディはジープをかっ飛ばして、怪しい光が降りていった山の方へと向かったんだ。僕らは山の大きな広場に着いた。だけど、残念ながらそこには何もなかったんだ。ガックリと肩を落として帰ろうとした時だったんだ。突然上空の方から、強烈な光・・・・じゃなくて

「なんだ、ただのゴキブリやん。びっくりさせやがっ・・・・」

「ば、ばかなー。な、なにぃー。」

ゴキブリ様ですよ。略してゴキ様です。茶色いバディが光輝いていました。もう僕のキッチンを我が物顔で闊歩しているんだもの。

それにしてもあまりに突然の出会い。あの瞬間は確実に時の流れがスローモーションでした。ゴキブリ様の見事なランニングフォームが僕の目にははっきりと映し出されていました。出会いはスローモーション。そりゃびっくりしてちょっとコーヒーこぼしますがな。

まさかマイルームにゴキブリがいるとは。そりゃね、ちょっとマイルームは散らかっておりますよ。これが男の一人暮らしだといわんばかりの部屋ですよ。リモコンとかはさみがどこにいったかわからなくなる部屋ですよ。昔、小さな謎の虫が発生したことがある部屋ですよ。

ゴキブリというと、異常なまでの繁殖力を兼ね備えた生物です。恐竜時代から生き残っている脅威の生命力をお持ちになっておられます。一匹見つけたら30匹はいると思えと聞いたことがあります。ということで我が家に推定30匹の同居人が加わりました。僕と愉快な30匹の仲間達との共同生活の始まりです。

それにしても、あまりにも突然の出会い、僕の予期せぬ出会い。だってこの部屋に住んでもう三年以上になるんですが、今までゴキブリのゴの字も見たことがないのですから。

突然の出会いってのは、必ずしも素敵な出会いばかりとは限らない。会いたくもない、嫌いな奴とどこかで偶然に出会うかもしれない。ストーカー様にも夜道で突然出くわすかもしれない。

これからも生きていくうえで、幾度も突然の出会いに遭遇するだろう。その中には素敵な出会いもあれば、そうでない出会いもあるだろう。様々な出会いの中で素敵な出会いをどれだけ逃さずにいられるか、それが大事なんだと思う。

人生は予期せぬ出来事があるから面白い。できれば今度は茶色いバディのゴキブリとかじゃなくて、ダイナマイトバディの素敵な女性と突然出会いたいな。

あー、なんだか食器棚を開くのが怖い。


5/12 付箋フェチ

僕は、付箋を教科書にペタペタと貼る女の子が好きだ。カラフルな付箋がこれでもかこれでもかと貼り付けられた教科書や参考書を見ると興奮する。付箋には簡単なメモ書きなどがしてあって、重要!だのテスト範囲!だのが可愛い文字で書かれている。っていうか付箋を貼りすぎて、君は逆に付箋を貼ることがメインになってしまって、本当に勉強してるのかい?という人もいたけどな。

僕は、はっきりいって整理することが苦手だ。だから付箋自体は好きなんだけど、ちゃんと使いこなしたことがなかったと思う。文房具売り場などで、カラフルな付箋を見つけた時は「よーし、これを教科書にペタペタ貼って、効率アップ!モリモリ勉強しちゃうぞー」なんて意気込むわけだけど、結局ほとんど使われずじまいで、机の引き出しに眠ることになってしまった。

付箋を貼るという行為は、膨大な情報の中の重要な情報をマークして探しやすくしたり、忘れたくない情報の備忘録みたいな意味合いがあると思う。

今僕はこうしてサイトに日記みたいなものを書いているわけですが、その理由として一つ挙げられるものがある。それは、膨大な思い出の中の大切な思い出、忘れたくない思い出、そういったものをいつまでも僕の胸の中に残しておきたいからだ。

人間っていうのは忘れやすい生き物で、とびきり笑った思い出も、死ぬほどドキドキした思い出も、時が経つとだんだん思いだせなくなってくる。あの時はあんなに興奮して一生忘れないと思った思い出でも、全ての事を覚えていられるはずもなく、断片的にしか思いだせなくなる。けど、こうやって人間は忘れることができるから生きていけるのだから仕方ない。例え、楽しい思い出を忘れることなく全て覚えられていたとしても、辛かった思い出、悲しい思い出を忘れることができないとしたら、壊れてしまうんじゃないだろうか。

人間は忘れてしまう生き物だから、僕は少しでもなんらかの思い出を残しておきたいと思う。そして、このサイトをいつか読み返して、少しでも昔の思い出を蘇らせることができたらいいなと思う。僕はこのサイトで自分のいくつもの思い出に付箋を貼っているのかもしれない。こうしておけば、またいつか昔の思い出に触れるきっかけになるかもしれない。これからも、このサイトで僕の思い出にペタペタと付箋を貼る作業をのんびりとやっていきたいと思う。

なんてことを書いてみましたが、セーラームーンの話とか全然思い出でもなんでもないよな、将来読み返したらきっと後悔すると思う。


5/18 雨に唄えば

最近やたらと雨の日が多くないですか?まだ梅雨入り前だっていうのに、どうしたもんでしょう。けど雨の日って僕はそんなに嫌いではないんです。たしかに鬱陶しく感じることもあるんだけど、1年365日全てが晴れでもつまらないじゃないですか。毎日がエブリデイみたいな感じじゃないですか。

雨の日で僕が好きなのは、教室や車の中にいるときです。なんか守られているような安心感が好きなんです。屋根を打つ雨の音も心地よいですし、雨に濡れた街並みを見るのも好きです。雨の日って皆が教室にいるから、意外と賑やかなんですよね。

話は変わって、基本的に僕って雨に濡れるという感覚が鈍いんです。多少の雨なら傘を持っていく手間よりも少し濡れることを選択します。そのせいで、あまり雨が降ってないと思って傘を持っていかずに後悔したことも多々あります。バイト帰りに滝のような雨に打たれたり、時にはヒョウとか降ってきたこともあったなぁ。ていうか雨はまだ我慢できるけど、ヒョウは無理。顔にベチベチとヒョウが当るとほんと泣きそうになるわ。

そもそもこうなったのは中学時代の部活のせいかもしれない。僕は中学生当時、サッカー部に所属していました。県内屈指の強豪でして、練習はまさしく地獄、顧問は鬼でした。

サッカーというスポーツは非常にハードで無骨なスポーツです。野球なんて、雨が強くなったら中止になるじゃないですか、けどサッカーは違うのな。

雨なんて関係なし、っていうか雨なら無問題。野球部なんか雨が降ると「筋トレしちゃうぞー」とか言ってるんだけど、サッカー部は「グラウンド集合な」とか死の宣告をされるわけ。グラウンドには水溜りが到る所にあってこれから繰り広げられる、阿鼻叫喚の地獄絵図が容易に想像できます。

雨の日になると、やたら嬉しがって普段やりもしないスライディングタックルをかましてくるやつとかいますからね。お前は晴れの日にスライディングタックルをしろと言いたい。

さらにタチの悪いやつなんかは、わざと水溜りの直前でボールを蹴ったりします。それで、ドバババァーと超ド級のウェーブを起こそうとしたりするんです。いや、そんなことしても実際のサッカーテクニックの向上には全く役に立ってないから。泥水の波が立つくらないもんです。

雨の日のグラウンドはフットボーラー達を狂わせるというか、童心に帰らせるのかもしれない。小さな頃、泥だらけになって遊んだ思い出。服が汚れたり、風邪をひくなんて知ったこっちゃない。みんな童心に帰ってサッカーを楽しんでいるんだ。ただひたすらにボールを追いかける、それはもう純粋に、ピュアに。

まぁそれはいいんだけど、うちのサッカー部な、朝練があったんだわ。で朝から↑のような調子なのな。朝7時から始まるんだけど、雨の日の一日の始まりがこれだからな。

朝練を終えて、教室へ向かうとさ、みんなそれはそれは綺麗な格好で登校してきているわけなんですよ。アイロンが掛けられたピシっとした制服、ノリの効いたパリっとしたシャツ、綺麗にブローされたサラサラヘアー。なのにさ、僕と友達のサッカー部の仲間は、朝一から頭がビショビショなの。さらにおパンツとかもに雨が浸透しちゃってるのな。しばらく時間が経つと渇いてくるんだけどさ、今度は砂がボロボロ出てくる。被りまくった泥水のせいだ。

こうして朝のホームルームから、どこかに遭難してたんじゃねえのって感じの格好で授業うけてたもんな。落ち武者みたいだったもんな。今考えると、ものすごいよな。一種のプレイとしか思えない。

こうやって雨に濡れるのはいやだという感覚を徹底的に取り去られた僕。だから今でも多少の雨にはびくともしないし、動じない。

しかも雨に濡れたせいで、風邪を引いた覚えがない。ただ単に馬鹿は風邪を引かないからかもしれないけどね。


5/26 セツナイキモチ

切ないね・・・

切ない気持ちになることはありますか?切なさってのは人間の持つあらゆる感情の中でも、特に奥深いものだと僕は思います。

好きな人を思い、切なさで胸がキュッと締め付けられる。故郷を離れた人たちが、両親や友達や故郷の街並みを思い出し、切なくなって感傷に浸る。賑やかな祭りのあと、ひっそりとした静けさに切なくなる。

切ないという感情は、ポジティブでもネガティブでもない、不思議な感情だと思います。嬉しい、悲しい、この二つの感情だけでは、人間の心の機微といったものは上手く表現することができません。

切なさというものは、言葉で説明しようとするのは非常に難しいのですが、間違いなく存在しますし、僕らは切なさを感じる時があるのです。切ない歌や切ない物語は人の心を揺さぶります。切ない気持ちってのは、時には胸が締め付けられるようで苦しく感じる時もあります。しかし、それはただの苦しみではなくて、人間味のある甘い痛みとでも言うべきなのでしょうか。

そんな切なさというものが素敵なのは、その根底に深い愛情が存在しているからだと思います。切なさを感じるということは、それだけその対象のことを心底大切に思っているのです。

切なさで胸がキュッとなって苦しいときもありますが、それって素敵じゃないですか。切なさを感じることができるのは感情が豊かな証拠だと思います。

昨日のバイト中のことでした。僕はコンビニの夜勤をしているのですが、夜勤の最後の仕事は本の納品と陳列なんですよ。この仕事が終われば、家に帰れるぜヒャッホーてな感じで、たんまりと納品された本を華麗にまるで、ダンスを舞うかのように並べていたのです。それはもうまるで熊川哲也のように。

本が納品される時間は大体朝の5時30分くらいなんですが、その頃になると朝ご飯を買い求めにくるお客さんが結構いるんですよね。店内を見回すと朝からエロ本読んでるおじさんとかがいます。「朝から元気だな、おい」とか思いながら本を並べていたのですよ。

そしたら一人のおじさんがぼやくように僕に話しかけてきたんです。

「あの子はこんな事する人じゃなかった・・・」

びっくりしましたよ。なんかめちゃくちゃ意味深じゃないですか。テレビとかで、犯罪者の身近な人たちがインタビューを受けて、口にするような言葉です。

もしかしたら、このおじさんの娘が犯罪でも犯してしまったのだろうか。それとも、毎晩夜遅くまで出歩き、家に帰ってこない娘がいるのだろうか。昔は、真面目で勉強一筋だったのに、今ではもう派手な化粧に大胆な服装で夜な夜な男と遊び歩いている。そして、あまりにもその事に悩み、疲れは果ててしまったおじさんは、ふとその辛い心境を独り言のように呟いてしまったのだろうか。

けどな、よく見るとおじさんはエロ本をご開帳して、僕に見せ付けてやんの。まるで勝訴と書かれた紙を誇らしく掲げるように。

「この子はおっぱい見せるような子じゃないとワシは思ってたのぉ」

ってものすごい切ない表情で僕に訴えかけてくるんです。確かに雑誌の中で、若い生娘が満面の笑みでお乳をさらけだしてるんですよ。どうだ!これでもか!と言わんばかりに。

「テレビでよく見るけど、こんな事する子やとは思わなんだ。」

まるで、愛娘がエロ本に登場してしまったかのような、切ない気持ち、やるせなさが伝わってきました。切ない気持ちをあれほど見事に表現できる俳優なんていませんよ。カンヌ映画祭とか出たら、主演男優賞とれるくらいの勢いです。

どうやらおじさんはお乳をさらけ出しているのを、某有名アイドルだと勘違いしている模様です。エロ本に出ていた娘なんですが、見紛う事なきAV女優でして、某有名アイドル似ということで評判の娘でした。おじさんは清純だと思っていたアイドルが突然変わってしまったと思い、切なさを感じていたのだと思います。

完全におじさんの一人相撲です。一人で勘違いして、一人でショックを受け、一人で切ない気分になっちゃっています。

エロ本を開きながら、おじさんはエロスを感じるでもなく、ただひたすら切ない表情を浮かべておりました。魂の抜け殻みたいな感じでした。

僕もあの時、一言「おじさんそれは○○じゃなくて、別人ですよ」と声をかけてあげれば良かった。

あのおじさんは今頃、間違いだったと気付いているのだろうか。
それともテレビに出ている某有名アイドルを見ては、「この子は表向きは清純そうやけど、裏ではおっぱい出してるんや」と切なさで胸をキュッと締め付けられているのだろうか。

それはもう僕にはわからない。そんなおじさんの事を思うと、胸がキュッとなるわけねぇだろ。